特例制度を活用すれば、贈与税・相続税を100%猶予できます
2023年3月31日までに事業承継計画を提出すれば、発行済株式のすべてについて、贈与税・相続税を100%猶予することができます。
この制度は、期限付きの制度です。事業承継計画を2023年3月31日までに提出すれば、2027年12月31日までに生前贈与した場合に特例制度が適用されます。
さらにその後、相続が発生した場合には、相続税にも特例が適用されます。
※一般措置の納税猶予は、この期限を過ぎてしまっても適用することが可能です。
しかし、納税猶予には、結構きびしい条件があったと思うんだけど・・・
2015年の条件緩和、2018年の特例措置で使いやすくなりました
対象株式 : 一般措置 発行済株式数の3分の2 ⇒ 特例措置 全株式
猶予割合 : 一般措置 贈与税100% 相続税80% ⇒ 特例措置 贈与税・相続税とも100%
後継者の人数も、一般措置の一人から特例措置では、3人まで増えました。
事業承継を考える中小企業の経営者の多くが、納税猶予を検討したことがあると思います。
しかし、2008年に施行された当初の制度は、適用条件が厳しく、また適用後に条件を満たせなくなった場合のペナルティーも大きなものでした。
そこで2015年、2018年の制度改正、さらに2019年の民法改正の後押しで、この特例納税猶予を含めた経営承継円滑化法の活用が活発になってきました。その目的の一つは、賃金の抑制だと考えられます。
生前贈与は、経営権の委譲を意味しますので、期限があったからといってすぐに実行できるこではありません。しかし、贈与税・相続税が100%猶予されることは、後継者にとって大きなアドバンテージです。
一つの選択肢として、検討することは事業継続の大きな試金石となると思います。
後継者以外にも事業に関与しない相続人がいますか?
生前贈与で納税猶予を適用すると、事業に関与しない相続人の相続税額が増えてしまう場合があります。
一方で、特例措置では、最大3名までの後継者を受贈者(贈与を受けるもの)にできるようになりましたので、そのような事態を避けることができるかもしれません。
後継者の人数の増加は、特例の一つです。